ドイツでの手術2



しかし、ドイツでの手術が日本に比べて全てにおいて優れているかといえば、そうではないと思います。自分は外国かぶれではないので、そこは冷静に判断できます。ドイツでの病院、少なくとも大学病院はそれぞれの科がいうなれば独立した会社みたいなものです。教授が社長です。教授が医局員の給料を支払います。そして医局員も基本給は凄く安く、仕事した内容によって加算されていくというシステムです。第一助手1回いくらみたいな感じです。また、収支が厳格化されているので不要な検査は基本的に行いません。保険でカバーされるものだけです(ここは最近の日本も似ているが)。だから、CTやPETや採血や何もかも頻回には絶対に行いません。損するからです。安易に手術でもステプラーを使いません。ほぼ全て糸での手縫いです。糸(当時モノフィラメントは1本3000円。今はもっと高額)も何本も使うと大変高額になるので、1本の糸での気管支形成は連続縫合なのも頷けます。1本の連続縫合をスキルの無い医師が行うと気管支のカッティング(裂けること)からせっかくここまで縫ったのに全て台無しということにもなります。極力材料費を抑える意識が各医師は高いです。あたりまえです。そうしないと給料でなくなりますから。日本は民間病院ならそういう意識が比較的あるでしょうが、公的病院では材料費に関する意識はほぼありません。それは悪いことではなく、患者さんのために、自分のためにお金を気にせず好きなものが好きなだけ使えることが可能なのは良いことです。多く使うとレセプトで詳細記載が必要になりますが、あまり非常識な使い方でなければ、経験上はレセプトで撥ねられることは稀です。日本でも使用できるステプラーの本数が決まっていますが、上限以上使うこともやはり場合によってはあります。しかし、ドイツではそういう場合は手縫いします。日本は本当に恵まれているなと思います。ただ、懸念もあって日本の若い呼吸器外科医はシンプルな気管支や血管の縫合閉鎖も経験の無い人が多いです。便利なステプラーをもちろん使えば良いのですが、使えないときやトラブル時にはマニュアル手法を知らないとリカバリーできません。

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