手術の診療報酬2

手術の診療報酬として1回の手術がふつ~うの肺癌に対する胸腔鏡手術では92000点でした。つまり1回ふつ~の胸腔鏡下肺葉切除を施行すると92万円の手術報酬なわけです。ちなみに麻酔の診療報酬は当たり前ですが別です。この手術を、では年間200やって、約半分の点数、50点の手術を150やれば、一体いくらなのかというと2億5千900万円です。3人外科医がいると単純に8630万円です。入院や点滴などの他一切の費用を無視して手術だけに特化するとこんなもんです。でも手術は外科医だけでやっているわけではないので、こんな年収あり得ないわけですが。大体肺癌の手術をするには1回の入院で240万円くらいかかりますので、手術の費用は全体の費用の大体4割程度です。そう考えると外科医の給料は高くないですね。住民税と所得税払ったら、手取りはさらに半分に。。泣  

ちなみに手術を受ける患者さんはそんな費用を払う必要がありません。「高額療養費制度」によって年収に応じて支払う上限が決まっています。

70歳以上の方の上限額(平成30年8月診療分から)

厚生労働省:高額療養費制度を利用される皆様へ(平成30年8月診療分から)

自己負担限度額70歳以上の方の上限額

厚生労働省:高額療養費制度を利用される皆様へ(平成29年8月から平成30年7月診療分まで)

 

手術の診療報酬

前回は診療報酬の話をしましたが、それでは手術はどうでしょうか?

手術も細かく点数がついています。開胸手術は胸腔鏡手術より点数が低いです。また、気管支分岐部切除や再建手術、移植などは高い点数になっています。肺の手術では今はステプラー(stapler)というという自動縫合器というデバイスを用います。ステプラーとはホッチキスのことですが、細かな多数のホッチキスが臓器にかかり、内蔵しているカッターナイフで切るという装置です。これで肺組織や気管支や血管を処理します。なくてはならない機器なわけですが、これがなんと手術の種類によって保険で支払われる本数が決まっています。それ以上使用するとまたまた病院の持ち出しというか診療報酬から減額されます。規定数が6本なら7本以上使うと損していきます。だから診療報酬を少なくとも重要視してる医師は6本以内で何とかしようとします。しかし、どうしても使わねばならないときも出てきます。そこは仕方が無いのですが。また、超音波凝固切開装置やベッセルシーリングシステム(vessel sealing system)といった、これまた無くてはならない機器がありますが、これも加算は2000点です。機器の値段より安く設定されていますので、使えば使うほど一定の報酬減額になります。これら機器を使わずに胸腔鏡手術は可能ですが、術後術中合併症は上昇することが予想されます。多分、使わない外科医は極めて少数でしょう。 ここまでぎりぎりだとは何かおかしい感じがしませんか?