歯の疾患と呼吸器疾患の関係性~歯科治療と予防の重要性



最近は手術前に歯療科口腔外科や歯科の診察をうけるのがルーチンになってきました。歯の疾患、主に虫歯などは術後大変な合併症を起こす可能性があります。我々が最も恐れている疾患は降下性縦郭炎(descending necrotizing mediastinitis:DNM)というものです。

DNMの原因疾患として,歯原性膿瘍,咽後膿瘍や扁桃周囲膿瘍など口腔や頸部などの感染があげられます。口腔内の細菌が筋膜と筋膜の間に沿って縦隔、いわゆる肺と肺の間で心臓の前のスペースである前縦郭や食道周囲の後縦郭へ下降すると,だんだんと壊死性膿瘍を形成し,さらに細菌の増加で敗血症を引き起こします。細菌が口から下の縦郭に降りてくる経路には,気管の前からの経路,血管に沿う経路,食道に沿う経路があります。リスク因子としては糖尿病,肝硬変,重喫煙,ステロイドや免疫抑制薬の投与中などがありますが,特に既往歴や基礎疾患のない患者でもみられます。私が経験した患者さんは糖尿病もなく基礎疾患も無い肺癌の術後状態でした。親知らず周囲の腫れから縦隔炎を生じました。免疫の低下で虫歯による口腔内細菌が縦郭炎を引き起こすという恐ろしいものでした。治療は細菌が形成している膿を外に出すドレナージが基本ですが、10~20%の死亡率があります。定期的な口腔内の観察、洗浄などのメンテナンス予防が極めて大切です。特に免疫系の低下している高齢者では注意が必要です。
昔は膿瘍の位置によりドレナージのアプローチが様々(胸骨上、剣状突起下、肋間など)でしたが、現在では胸腔鏡手術によって,小さな創で広範囲のドレナージ(前縦隔、後縦隔)が可能です。治療では呼吸器外科だけでなく,歯科や耳鼻咽喉科など多くの診療科との連携が必要です。


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