胸部CTを撮影して腫瘤は肺癌の疑いがかなり高いことがわかった。どうも白っぽい陰影はゴツゴツして2cmくらい直径があるらしかった。薄い影はないと言うことだった。またリンパ節の腫れは無かった。空洞も石灰化もなかった。
*ポイント 肺癌の場合、陰影はかなりの確率で楕円であり、notch signといわれるゴツゴツした辺縁を持つ。放射状陰影、いわゆるspicularという形状も見られる。リンパ節の腫れがなかったということは短径が1cmを越えていなかったと思われる。つまり手術前の診断としてはリンパ節転移は無さそうだということ。つまり早期肺癌の可能性が高い。
肺癌の陰は濃い影と薄い影が混在する。一般には中心部が濃く、辺縁が薄いのだが、この薄い部分は癌細胞の密度が低いためそんなに心配は無い。問題は濃い部分である。濃い部分が大きいと癌細胞の密度の高い部位が多いということになり進行している傾向があるといえる。空洞ができるのは扁平上皮癌というたばこに関与が強いとされている肺癌や肺膿瘍などの炎症背疾患がある。また石灰化は肉芽腫などの良性腫瘍が鑑別にあがる。