鳥インフルエンザと新型コロナウィルス



昨日富山県の小矢部市養鶏場で高病原性のH5N8タイプの鳥A型インフルエンザウィルスが確認され、14万以上の殺処分が行われ始めました。国内では鶏肉や鶏卵から人に感染した事例はないとのことですが、当然、ウイルスは病鳥の体液や内臓、糞便との接触によりヒトへ感染します。ヒトからヒトへの感染はコロナのように患者との濃厚接触による限定的なものです。H5N8ウイルスは2019年冬にヨーロッパで流行したH5N8亜型高病原性鳥インフルエンザウイルスが、2020年の夏にソ連に渡り秋に渡り鳥と共に大陸を渡って日本に侵入したと考えられています。日本では昨年11月に香川で発見されました。コロナの場合は主にヒトにより日本に入ってきました。(航空便の荷物への付着とかも考えられます)H5N8ウイルスはヨーロッパ型とは遺伝子は完全に一致していないようですがかなりの相同性があると言うことです。ちなみにHとNはウイルス表面に存在する2つの糖タンパク質の種類に基づくウイルスの分類型のことです。HA(赤血球凝集素タンパク)には、H1からH18、NA(ノイラミニダーゼ)にはN1からN11までの亜型が存在します。この亜型によって感染性や重篤性が変わります。亜型と書きましたがウィルスは常に変化しています。インフルエンザワクチンを折角打ったのにあまり効かないなんて当たり前の事ですね。ターゲットのウィルスで無いことの方が多いんですから。新型コロナウイルスは1ヶ月に2回くらいのペースで変異することが判っています。イギリスで今猛威を振るっている亜型ウィルス(VUI 202012/01)は初期の中国型に比べ29箇所もの変異が確認され変異スピードはかなり速いということです。また、感染性も70%くらい増強しています。日本に入ってきたら現状では済まされません。じゃあ、なぜこのウィルスはいつどのように変異するのかということですが、一説によると、免疫力の低い患者が新型コロナに感染し、長期間持続感染することで、免疫から逃れるために変異したウイルスが生き残り、亜型が生まれる可能性があるということです。じゃあ、過度な長期治療はやめるべきなのかという医療の原点を転覆させるような考えも出てきています。日本での問題はイギリスのようにウイルスの遺伝子配列の解析を強化できるのかということでしょう。