ロンギヌスの槍についての考察  



海外の美術館に行き、宗教画を見ると必ずロンギヌスの槍関連の絵画があります。ルーブルのマンテーニャのなどが有名です。ロンギヌスの槍とは何かというと、ゴルゴタの丘で磔刑に処せられた十字架上のイエス・キリストの死を確認するために側腹を刺したとされる槍(聖槍)のことです。残酷にもキリストは処刑場のあるゴルゴタの丘まで、自分の十字架を背負って歩かされたんですよね。。。一説によるとロンギヌスっていうのはこの槍を刺したローマ兵士の名前らしいです。ロンギヌスは白内障で目がほとんど見えなかったらしいのですが、キリストを槍で刺して、その際の血液が目に入り、眼が見えるようになった!らしいです。(なんでや。。すごいな)。ちなみにロンギヌスはよく馬に乗りながら刺しています。磔にされたキリストの胸に槍を届かすには馬乗りの方が妥当なのでしょうか。。。槍を刺したのはイエス・キリストが本当に亡くなったのかを確かめるためとされていますが、当時は心臓で無く肝臓が急所で血液の源と信じられていたため肝臓をめがけて刺したみたいです。先端は心膜腔で止まってたらしいので心筋には刺さっていなかったということです。この刺創の場所なんですが、本当に様々です。職業柄といいますか、観察経験上、この槍は右の第5~6肋間からのものが大勢を占めます。しかし第4肋間から刺されている場合もありますし、相当低い第6肋間のものもありますが、より下はあまりありません。また逆に第3肋間より頭側もあまり見ません。刺されたあとに磔から下ろされた絵では創は意外に前方にあるのですが、刺された瞬間は前腋窩線くらいのことが多い様に思います。つまり、肝臓を刺すにはちょっと高すぎる(頭足すぎる)絵が多いようです。美術館でこんな風にロンギヌスの槍を鑑賞するのは間違っていることはよくわかってます。この槍はなんか複数存在するようですが、あたりまえですが、本来は1本でないとおかしいです。バチカンのサンピエトロ大聖堂に非公開で保管されているらしいですが、非公開なのでわかりません。サンピエトロ大聖堂には行きましたが当然見ていません。でも彫刻の髭もじゃのロンギヌスは槍を持って堂々と立っていました。ちなみにロンギヌスの槍はキリストの死を象徴しており、霊感が強くなるとか、持てば世界を征服できる力を持つとかの意味は無いみたいです。肉体的な死はあまり意味が無く、そのあとの魂の復活が大切だという霊的意義を意味はしているのかもしれません。

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